関西医科大学 耳鼻咽喉科頭頸部外学講座

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新しい研修プログラム

はじめに

 耳鼻咽喉科・頭頸部外科の担う臨床および研究は非常に多岐に渡り、それは耳、平衡機能、鼻副鼻腔、咽喉頭、また咀嚼・嚥下、音声言語など歯、眼、脳を除く(これらも時に含まれるが)鎖骨上の臓器および機能のほぼすべてを包含します。当科では、さらに下気道や食道も診療範囲としていることが特徴です。耳鼻咽喉科は外科的側面のなかに内科的側面を混合しており、多くの専門分野に細分化されていますが、当科の研修ではこれらの耳鼻咽喉科・頭頸部外科疾患を広く経験できると考えています。

 耳鼻咽喉科専門医は4年間の耳鼻咽喉科研修医の鼻科教育臨床研修を行った後、筆記試験、面接試験を経て認定されますが、4年間の研修において各分野の知識と医療技術を高め、どこへ出ても恥ずかしくない優れた耳鼻咽喉科医となっていたただくことを本研修の目的としています。

 臓器別の医学の進歩は重要ですが、一方で超高齢化社会においては臓器別の縦割り医学のコンセプトでは十分解決できない問題も多いことは誰もが感じているところです。社会からは臓器別、分野別の縦割りの視点で捉えるのみでなく、その人の置かれた社会環境や経済状態なども勘案した上で対応する必要に迫られています。当科での後期研修は、医療技術の修得はもちろんのこと、患者の持つ問題を全人的にとらえ、科学的根拠に基づいて現時点での最良の医療を提供する能力と習慣を身に付け、養うステップとして大いに役立つものでありたい。


当科の特色

耳鼻咽喉科・頭頸部外科のすべてを吸収して

 当科は耳鼻咽喉科・頭頸部外科で扱うあらゆる疾患に対して専門的かつ高い医療水準での治療を行っていると自負しています。感覚器疾患、アレルギー疾患、感染症、腫瘍など多岐にわたる疾病に対してグループ間の分け隔てなく診療を行う気質があるため、専修医にとっても、万遍なくこれらの疾病を経験することができます。

困難な症例にも立ち向かえる力を

 当科では、多くの頭頸部悪性腫瘍症例や重症感染症などを扱っており、頭頸部悪性腫瘍症例に対して拡大切除術および再建手術、重症感染症に対する緊急のドレナージ術などを日々行っており、専修医にはチームの一員として加わっていただくことにより、全身管理を学び頭頸部の局所解剖に触れる機会が非常に多くなります。

気道のプロになる

 病院勤務医としては他科から上気道の確認および確保するための治療を依頼される機会が多く、そこで頼られることも多い。腫瘍性疾患、急性感染症などによる気道狭窄のマネージメントを学び、嚥下など超高齢化社会のなかでニーズの高い分野もマネージメントできることを目指す。

鼻科学を究める

 当科では近年鼻科領域の活動が盛んで2014年秋に日本鼻科学会総会を開催し、鼻科の臨床および基礎研究のセミナーを開催し、好評を得ました。同様のセミナーを基礎分野は夏、臨床は秋に医局員を対象に行う予定です。当科では早くからナビゲーションシステムを導入し、高度な慢性副鼻腔炎症例や再発症例、腫瘍性疾患に対しより安全で確実な内視鏡下鼻内手術を行っている。また当システムは研修医の学習、指導においても非常に有用であり、その効果については友田教授が以前から推奨しており、より効率的な内視鏡下鼻内手術のトレーニングができると考えています。また当科には呼吸器内科医が1名在籍しており、One Way, One Diseaseの概念のもと実地臨床、臨床研究に取り組んでおり、境界領域にも強い耳鼻咽喉科を目指すことが可能と考えています。

耳科学を究める

 当科は伝統的に中耳臨床、内耳研究においては多くの実績を残してきました。中耳手術については内視鏡も導入し、ここ数年大きく症例数を増やしています。側頭骨外科領域も扱うことができる知識、技術を持つ人材がいるため、研修の中で高度な耳科学の知識・経験を積み上げていくことが可能と考えます。

広く症例経験を積む

 当科は附属病院(枚方市)への移転によって、より強固な地域医療との連携を深めようと努力しており、紹介を受ける特殊な症例ばかりでなく、様々な疾患に対応することを目標としています。よって大学病院においても耳鼻咽喉科・頭頸部外科疾患全般に習熟することが可能で、耳鼻咽喉科専門医試験までに必要とする症例を十分経験できます。

面倒見のよいスタッフのなかで育つ

 このような診療のなかで「人を育てるは己を育てること」の精神から、専修医には後輩になる卒後研修医を含めた下級医の指導にも積極的に参加していただくことで、自らの知識・技能を整理し評価する能力を身につけることができると考えています。また若手から上級スタッフに至るまで面倒見の良い人々の集まりです。いつでも困った時に頼りになる先輩医師であろうと日々努めています。

地域医療に貢献する

 また府内の中核を担っている関連病院(研修医の出向病院はほぼすべて耳鼻咽喉科専門医指定病院)において1~2年間研修し、外来および病棟業務でさらに一般的な耳鼻咽喉科疾患に触れ、地域医療や医療制度面にも目を向けることにより、広い視野を持った医療が行えるようになります。

研修後の進路について

 研修終了後の進路についても多彩な選択肢があります。研究面、臨床面において国内外の一流施設への留学が可能です。また帰郷や結婚後の移動などで当教室を離れる場合でもその後の就職先などの紹介も行います。研修終了後に当教室のスタッフとして活躍していただければ非常にうれしい限りですが、当教室から巣立って活躍する道もあります。本研修を土台として新たな道は踏み出すためのステップにしていただくことも喜びとしてスタッフ一同指導しています。

プログラム責任者、連絡担当者

岩井大(教授) 八木正夫(教育医長)

研修期間

後期研修4年間


プログラム概要

一般目標

一般的な外来・診療を的確に行うことに加え、術者として手術の機会を多く与えることにより、耳鼻咽喉科領域の基本的手術(耳鼻咽喉科専門医研修プログラムに準ずる)を術者として行え、術前後の管理が出来るようになることを目標とする。また、技術だけでなく最新の知識の習得にも努め、患者の状況に応じて最良の医療を提供できる能力を養うことを目標とする。

行動および経験目標

 日本耳鼻咽喉科学会専門医研修目標に準じ(日本耳鼻咽喉科学会ホームページhttp://www.jibika.or.jp/ 専門医情報および専門研修記録簿参照)、耳鼻咽喉科専門医試験に合格できる知識・技術を習得する。

研修カリキュラム
1年目 大学病院
での研修
耳鼻咽喉科医として最低限必要な手技・知識の習得に重点を置くが、耳鼻咽喉科の初歩的な小手術のみでなく、拡大手術などにも参加し、解剖学的知識の習得や、緊急時の対応、術後合併症への対応など医師として必要な技能の習得を目指す。また臨床研修医へ耳鼻咽喉科の基本的知識を教授し、知識を整理、プレゼンテーション技能を修得する。
2・3年目 1~2年間の
関連施設
での研修
耳鼻咽喉科外来診療を継続的に行うことにより長期的な病状経過を観察し、急性疾患および慢性疾患の特徴を知り、適切な処置を行える能力を養う。また、主に一人で行うことのできる手術(口蓋扁桃摘出術、鼻副鼻腔手術、喉頭微細手術など)により習熟する。
4年目 基本的には
大学病院
での研修
耳鼻咽喉科専門外来への参加などより専門性の高い知識や手技の習得に費やす。また頭頸部腫瘍手術(唾液腺手術、甲状腺手術など)耳科手術、鼻副鼻腔手術などの経験を積み術前後の管理、治療計画、患者家族への説明など治療全体のマネージメントが出来るように努める。また指導医として下級医を指導できるだけの知識と技術を習得する準備段階に入るため、積極的に下級医への指導に参加する。

※1-4年目を通じて:研修1年目からスタッフの指導のもと積極的に学会活動、論文作成などを行う。


プログラムに参加する関連施設の概要

  • 総合医療センター
     あらゆる症例のシャワーを浴びることができる。スタッフも充実した専修医にうってつけの研修施設。
  • 香里病院
     一般耳鼻咽喉科疾患を広く扱い、執刀医としての経験も十分に積むことができる。
  • 岸和田市民病院
     公立病院の中で売り上げトップクラスの非常に豊富な症例数を誇る。
  • 済生会野江病院:
     地域の耳鼻咽喉科との連携が強く、豊富な症例を経験できる。
  • 済生会泉尾病院:
     大阪の下町にある地域に根付いた診療を経験できる。
  • 医仁会武田総合病院
     救急疾患も多く扱うが、鼻科領域など一般手術件数も多い。
  • 星ヶ丘厚生年金病院:
     頭頸部外科にも強い指導医がおり、附属病院との連携を強く持つ。
※…すべて耳鼻咽喉科専門医研修施設

後期研修後の進路

  • 大学院への進学
  • 関連病院への出向
  • 希望により国内外の研究機関、臨床施設への留学(大学院への進学を含む)
  • 各種専門医資格を得るために大学における研修の継続

これらを経て大学病院スタッフ、関連病院勤務および開業など


専門医取得の要件

  1. 日本国の医師免許を有する者
  2. 連続して3年以上、日本耳鼻咽喉科学会の正会員である者。
  3. 日本耳鼻咽喉科学会が基準に基づいて許可した耳鼻咽喉科専門医研修施設において、研修カリキュラムに従い臨床研修終了後4年以上の専門領域研修(そのうち3年以上は耳鼻咽喉科専門医研修施設における研修でなければならない)を修了した者。

上記の3条件に該当した者は学会に申請を行い、認定審査を受け、2日間にわたる筆記試験、小論文、口頭試問を経て専門医となることができる。卒後7年目に専門医試験を受験することが可能である。

※詳細は日本耳鼻咽喉科学会ホームページhttp://www.jibika.or.jp/ 参照のこと。


新臨床研修医制度以降の専門医合格率

90.9%(2010年度以降入局者は合格率100%)



最後に

 臨床とは予測のできない出来事の塊です。そのためスケジュール通りにことが運ばないことがあるのは必然で、往々にして突然の出来事の中に重要な吸収すべきまた吸収しやすい内容が盛り込まれていることが多い。当科での研修では、さまざまな出来事の中にできる限り首をつっこんでいっていただき、私たちと一緒に学ぶことができればと思っています。  研修内容については、妊娠・育児休暇・家庭の事情などの個人の状況に応じてフレキシブルに対応します。岩井教授はじめスタッフ一同は働きやすい環境を意識して指導に取り組んでいます。