疾患の紹介

蕁麻疹

蕁麻疹とその類症は様々であり、診断には詳細な問診と検査が必要です。当科では重症型、難治性、再発性の蕁麻疹を中心に、血液検査、皮膚生検、皮膚テスト、内服テストなどを行い、診断と原因究明および適切な治療、日常生活の指導を実施しています。重症型のアナフィラキシータイプでは安全に検査する必要がありますので、入院の上、詳しい検査を行っています。

接触皮膚炎、薬疹

原因アレルゲンの検査を積極的に実施しています。接触皮膚炎の原因検索のためのパッチテストは、実際に使用されているものだけではなく、アレルゲンシリーズとして多くのアレルゲンを準備して行っていますので、原因成分を特定し、それが含まれている他の物質に対する注意指導も行っています。即時型アレルギー反応の検査にはスクラッチテスト、プリックテストを行っています。薬剤の内服テストも内服薬の種類や交差反応の可能性があるような場合には、入院の上、詳細に検査を実施しています。

光線過敏症

光線過敏症の診断には詳しい問診と、皮膚症状に加えて、光線テストによる客観的評価を行う必要があります。当科は、国内外から有数の専門施設として評価を受けており、詳細な検査を実施して診断を明らかにし、治療と生活指導を行っています。

乾癬

乾癬の治療法は、重症度と、美容的観点や受診の時間的制約など、患者さんのQOLにより選択されます。一般的には、外用療法(ステロイド外用薬、ビタミンD3外用薬)、内服療法(レチノイド、シクロスポリン)や紫外線療法を組み合わせて治療を行います。しかし、十分な治療効果がえられないことも多く、近年は生物学的製剤という注射薬での治療を広く行っています。広範囲の症状があり各種治療で改善しない場合や日常生活に支障があるような症状、強い関節症状などに適用されます。当科は、豊富な経験があり、全国でも有数の治療施設となっています。

脱毛症

代表的脱毛症は円形脱毛症と男性型脱毛症(女性のびまん性脱毛症を含む)です。難治性の脱毛症患者さんに対して、液体窒素療法、紫外線療法、局所免疫療法を行っています。とくに、SADBE、DPCPなどの化学刺激物質を用いた局所免疫療法が有効です。大きな副作用もなく有効な治療法として評価を受けています。
男性型脱毛症に対しては、自費診療となりますが、内服薬 フィナステリド(プロペシア)と、市販の外用育毛剤とを組み合わせて治療を行っています。

尋常性白斑

標準治療はステロイドの外用治療ですが、なかなか軽快せず、数十年持続する患者さんもおられます。当科で行っていますNarrow band UVB療法やエキシマライト療法は、顔面、体幹の病変の改善に優れており、さらに活性型ビタミンD3外用薬やステロイド外用薬との併用で有効性を高めています。また、表皮移植術も有効で、紫外線治療を組み合わせた治療を進めています。

膠原病

膠原病は皮膚病変を伴い、皮膚病変からの診断および経過・予後の判定が重要です。当科では、関係する各診療科と緊密な連携をとって診断、治療にあたっています。

サルコイドーシス

全身性肉芽腫性疾患であるサルコイドーシスの診断に皮膚症状は大変重要であり、皮膚からの診断とともに、皮膚病変と他臓器病変との関連性や基礎的研究に基いた種々の治療を実施しています。遠方からも患者さんに受診していただき、全国でも最も経験のある施設として評価されています。

悪性腫瘍

日光角化症やBowen病などのin situ腫瘍に対する凍結療法、光力学療法、単純切除術から、総合医療センターでは拡大切除、化学療法を要する悪性黒色腫や有棘細胞癌などの進行期悪性腫瘍まで幅広く扱っています。

陥入爪、巻き爪

陥入爪や爪が内側に湾曲している巻き爪(弯曲爪)に対して、スチール鋼ワイヤーにて矯正するVHO式矯正法を自費診療で行っています。施術当日から入浴、運動が可能です。

光線療法

種々の難治性疾患に対して優れた治療成績をあげています。外来ではNarrow band UVB療法、外用PUVA療法、エキシマライト療法を行い、入院患者さんには内服PUVA療法を中心とした紫外線治療を行っています。内服PUVA療法は、アトピー性皮膚炎や尋常性乾癬に対して優れた改善効果を示し、治療終了後も再発しにくい特徴をもっています。また、菌状息肉症の第一選択治療として用いています。UVB療法は、皮膚障害の少ないNarrow band UVB療法を外来診療で積極的に行っています。とくに尋常性白斑、扁平苔癬、掌蹠膿疱症、環状肉芽腫、穿孔性皮膚疾患など従来の治療に抵抗性を示す疾患に効果があり、種々の皮膚疾患に対して幅広く適応しています。エキシマライトは光強度が高く、短時間の照射が特徴の光線療法で、難治性の乾癬、掌蹠膿疱症、白斑、円形脱毛症に有効です。