関西医科大学附属病院薬剤部には、主に5つの業務があります。
調剤科では、医師の処方に基づいて薬剤を調剤するのが主な業務です。
医師がオーダした処方について、薬剤師が調剤時に監査を行ってから調剤を開始し、調剤者と異なる薬剤師が調剤薬を点検する際にも処方内容をチェックしています。また当院では、薬剤師がチェック用のデータベースを作成することで、よりきめ細かな処方チェックが可能な支援システムを実現し、このシステムを活用した処方チェックも行っています。
このように複数回の処方チェックを実施し、さらに、薬剤の配置や薬剤名の表示に工夫するなど、常に処方ミスや調剤ミスの防止に力を注ぎ、より安心で安全な医療を提供できるように努めています。
調剤科ではこのような調剤業務以外に、注射薬取り揃え、重症部門注射カートでの注射薬供給、医薬品マスタ管理、薬剤師や薬学生の教育など、様々な業務を行っています。
薬務業務は総務的で多岐に亘るもので、主に以下の業務を行っています。
医薬品の安全な使用のための重要な業務として、常に医薬品の適正な在庫量の確保に努め、調剤科と協働して医薬品の速やかな供給および品質管理を行うことで、有効で安全性の高い薬物療法の提供に貢献しています。
保険薬事委員会の決定に基づく新規採用、採用取消、更に国の方針に従った後発医薬品への採用切替等においては、電子カルテの医薬品マスタの管理も含めて、安全で円滑な運用が出来るように対応しています。
また、医薬品の種類の増加や高額化が進んでいる状況下で、各系列病院とも連携し、大切な医療資源である医薬品の効率的な使用に取り組んでいます。
薬品情報科では、常に最新の医薬品情報を収集・管理し、適切に評価を行い、院内の各部門、各職種に迅速に情報提供できる体制を整備し、問い合わせにも対応しています。また、医薬品の使用状況を把握するとともに医薬品の安全性に係わる重要な情報を把握した際には必要な措置を講じる体制を整備しています。
患者に対する最適な薬物治療に寄与するために、医療チームの一員として病棟薬剤師と連携し、医薬品情報を通じて、院内における医薬品の適正使用に貢献できるよう努めています。
院内製剤は、使用目的に応じて①調剤の準備を目的とするもの、②患者の治療・診断を目的とするもの、③医療に用いるが患者の治療・診断目的ではないもの、に大別できます。
調剤の迅速化、効率化を図るための予製を行うものから、医療上重要であるが市販品として入手困難な場合など、医療ニーズに対応し、安全で安心かつ適正な院内製剤の調製及び使用を図ることを目的に行っています。調製にあたっては科学的・倫理的妥当性にについて十分考慮するとともに薬剤の保管方法、安定性に配慮しています。
また、調剤薬の品質確保のため、安全性や安定性試験も実施しています。
すべての外来・入院患者さんに投与される抗がん剤は、休日も含めて薬剤師が調製を行っています。平日の調製件数は、およそ1日100件です。抗がん剤は電子カルテシステムに登録されたレジメンに基づき投与され、薬剤部では前日に化学療法取り揃え箋にて投与量、投与間隔、血液検査データ、投与ルートなどを処方監査し、個人ごとにセッティングを行います。抗がん剤投与当日は、医師の診察後に抗腫瘍薬実施承認処方箋が出力され、投与量、当日血液検査データを確認し、調製を行います。
抗がん剤の調製業務では、適正に投与されるよう正しい抗がん剤の取り扱いの技術を習得し、薬剤に対する知識を身につけていることが必要となります。また、調製者に抗癌剤による暴露を防止するため、抗がん剤調製専用室内(外来・入院)にクラスⅡのタイプB2である100%室外排気型安全キャビネットを4台設置し無菌調製を行っています。