■出口部感染・皮下トンネル感染

カテーテルの出口部に傷ができ、そこに菌が入り込んで起こる感染症です。そのままにしておくと菌がカテーテルに沿って侵入し(トンネル感染)、腹腔内まで入ってしまうと、腹膜炎になることもあります。病院から指示された日々の出口部ケアをしっかり行いましょう。

【原因】
① カテーテル周囲の浸潤や不潔
② 肉芽形成
③ 低栄養状態
④ かき傷・湿疹・かぶれ
⑤ 液漏れ
⑥ カテーテルによる摩擦

【症状】
出口部は術後しばらくは少し赤みを帯びた状態で、正常な出口部ではその赤みは自然に消失し、周囲の皮膚と同じ状態となります。感染を起こした出口部は、発赤・腫脹・疼痛・熱感・浸出液・排膿・肉芽形成などの炎症症状が出現します。



【診断】
まず出口部をよく観察します。
分泌物がある場合は、培養検査を行います。

【治療】
まず保存的な治療を行い、軽快しない場合には外科的治療が選択されます。
特定のカテーテル形状(ストレート、スワンネック)と、出口部感染頻度との関連は報告されていません。

保存的治療
① 出口部の安静
② 消毒と乾燥 イソジンゲルの塗布
③ 抗菌薬の塗布・内服 クラビットなど
④ 皮下トンネルの切開と排膿やカフを削りとる
⑤ 電解水や生理食塩水による洗浄
⑥ 硝酸銀焼灼
⑦ 冷凍凝固法

外科的治療
① 出口部を変更
② 難治性の場合はカテーテルを抜去して再手術

【出口部ケアと予防方法のポイント】
① いつも爪を短く切って、出口部ケア前には必ず手洗いをしましょう。
② 消毒が必要な方は、綿棒・ガーゼは滅菌されたものを使用しましょう。
③ 出口部ケアは毎日行い、出口部周辺も清潔にしておきましょう
④ 出口部を毎日観察しましょう。
⑤ カテーテルは自然の向きに合わせてしっかりと固定しましょう。
⑥ 出口部はなるべく、通気性をよくし乾燥させましょう。
⑦ オープンシャワーや入浴は、出口部の状況を病院に判断してもらってから行いましょう。




参考文献 腹膜透析患者出口部診断 実例集 埼玉医科大学病院 中元秀友著