略歴
1979年に京都府立医科大学卒業。当初は内科(小児科)志望であったが、名古屋にて研修中に整形外科志望に転向し、名古屋大学整形外科教室入局。1988年に博士号取得後、Mayo clinicにてresearch fellowとして勤務。帰国後は名古屋大学勤務を経て、名古屋第一赤十字病院に勤務し、2018年より現職。
学会活動
日本整形外科学会 専門医 男女共同参画・働き方改革委員会 委員長
日本手外科学会 認定手外科専門医 特別会員
日本肘関節学会 名誉会員
日本小児整形外科学会 功労会員 他
勤務状況
関西医科大学附属病院にて常勤医、
名古屋第一赤十字病院および、あいち小児保健医療総合センターで非常勤勤務
女性医師の働き方について
私の世代は、女医は3倍働いて一人前と言われ、外科分野では、長時間労働が当たり前で、ひたすら頑張るしかありませんでした。手術室で働くことが好きで、かつコメディカルの友人に助けられたおかげで続けられました。女性医師の育児をしながらのキャリアアップは、スーパードクターしかできないと考えられ、仕事か育児の二者選択を迫られました。
時代は変わり、”医師の働き方改革“がいわれ、ICTの活用とワークシェアで、時間の融通が利くようになりました。各種補助制度が整備され、育休の確保・職場復帰のしやすい環境が整ってきています。外科系分野でどこまでそれが可能となるかは、未知の要素も大きいですが、今後の医師自身の考え方次第だと思います。一番の鍵は、施設長・上司・同僚の理解と、本人の仕事への情熱次第と思います。また、周囲の理解を当たり前と思わず、感謝の念をもって働き続けることが大切かと思います。
整形外科で働くことの魅力
私が内科から整形外科へと気持ちが動いたのは、整形外科の“手作り感”で、診断から最終治療まで自分でできること、治療方法も保存治療vs手術治療の選択、さらに手術方法も多彩であることが面白かったからです。整形外科の女性医師は現在こそ、日整会会員の約6%いますが、当時は草分け的存在で、飛び込むのに勇気がいりました。今は機械の進歩により力はいりませんし、細やかな作業も多くあります。手術だけではありません。その後のリハビリ指導もまさにオーダーメードです。対象として扱う部位も広く、脊椎・関節・手外科・小児・スポーツ・リハビリと、実に多彩です。患者様の機能回復に自分の成長を感じることができます。整形外科医となって、40年もたちましたが、いまだに“初めての疾患・手術”に出会いワクワクします。一生学び続けることができ、本当に感謝しています。
女性医師へのメッセージ
かつてHillary Clintonが、“女性の社会進出にはガラスの天井がある”と言いました。が、あるアスリートは“天井は自分で作っている”と言いました。私はその通りだと思います。経験を積みキャリアアップを考える時期に育児が重なると、後れをとったと焦ったり、手術室から足が遠のきます。短期的には足踏みをしていると感じるかもしれませんが、10年先を見て、幅広い経験をしていると考えてください。自分の限界を決めればそこが終点です。医師の仕事が面白いのは、医療の進歩につれ学び続ける機会を与えられていることです。
もう一つお願いしたいのは、promotionのチャンスがきたら、躊躇せずに捕まえて下さい。日本のジェンダーギャップ指数は世界121位(2019年)で、女性の社会進出は極めて低いです。医学の世界でも同様です。女性医師が指導者として組織に入ることは、医学界にとっても有意義なことです。そのためにも女性自身の意識改革が必要です。