平成29年4月1日より齋藤貴徳が新教授として整形外科医局に就任されました。齋藤新教授を軸に、関西医科大学総合医療センターと連携し、年間約1200件の脊椎手術を行っています。
手術手技は多岐に渡りますが、特に齋藤新教授が中心となって作り上げたMISt(Minimally Invasive spine Stabilization)の概念を取り組む事で、転移性脊椎腫瘍、化膿性椎間板炎、脊柱変形といった従来侵襲の大きい脊椎手術に対し、最小侵襲脊椎安定術を施行する事ができるようになりました。今までは手術侵襲が大きいがために、外科的加療を成し得なかった患者さまにもMISt手術を行う事で、健康予後を大きく改善する事ができると考えています。
また当施設は術中脊髄モニタリングを取り入れ、手術現場で使用しています。脊椎脊髄腫瘍や若年脊柱変形、脊柱矯正手術にといった神経を直接触る事の多い手術に対し、脊髄モニタリングをする事で、より安全に脊椎手術を行う事ができます。脊髄モニタリングを臨床の現場で使用すると共に、当教室の臨床的および基礎的研究の柱として日々研鑽を積み重ねています。
大学病院でしか扱う事の出来ない特殊な脊椎症例のみならず、日常診療における全ての脊椎疾患に対して、脊椎グループで治療に全力で当たらせて頂く所存です。
特発性側彎症はもとより成人脊柱変形症例に対し、MISt手技やLIF(XLIF: eXtreme Lateral Interbody Fusion、OLIF: Oblique Lateral Interbody Fusion)手術を施行し、より低侵襲に脊椎矯正や固定術を行う事ができます。
(術前レントゲン)
(術中写真)
(術後レントゲン)
近年、癌患者数の増加に伴い、転移性脊椎腫瘍の患者数が増加しています。そのため、癌転移により病的骨折や麻痺などの骨関連事象(SRE: Skeletal Related Event)はADLの低下を招き、生命予後を著しく低下させます。当科では積極的に脊椎手術を行う事で脊椎の安定化を図り、他科と協力して総合的な治療を行っています。
(術前MRI)
(術中写真)
(術後レントゲン)
高齢化社会が進む上で免疫力の低下したcompromised host患者が増加しています。それ故、化膿性椎間板炎に罹患する患者を治療する機会が多くなります。従来、化膿性椎間板炎に対しinstrumentationを用いた脊椎手術は禁忌とされていましたが、MISt手技で後方脊柱のstabilizationを保つ事が感染の鎮静化につながり積極的に脊椎手術を施行しています。
当院は高度救命救急センターが併設されており、近隣病院では対応困難な三次救急患者が多数搬送されます。その中でも脊椎外傷が多く含まれ、年間約20~30例の脊椎外傷手術を行っています。脊椎外傷に対して迅速に処置できるよう、24時間365日脊椎staffが対応するシステムとなっています。
(術前CT およびMRI)
(術後レントゲン)
脊椎圧迫骨折や転移性脊椎腫瘍に伴う病的骨折に対し、BKPを行っています。全身麻酔下に背中に約1cmずつの皮切を加え、圧壊した椎体内にballoonを用いて膨らませた後、骨セメントを注入します。手術時間は約1時間で術後早期に立位・歩行訓練を開始する事ができます。
(術前レントゲンおよびCT)
(術前レントゲン)