学生、研修医の皆様へ

循環器

循環器内科での研修期間中に、ジェネラリストとしての実力をつけていただきたいと我々は考えています。それは循環器疾患の多くが、生活習慣病が患者背景にあることが多く、その管理が不可欠であるからです。狭心症・心筋梗塞などの冠動脈疾患はもとより、心不全、心筋症、心臓弁膜症、肺高血圧症、不整脈、高血圧症などあらゆる循環器疾患を対象に、的確な診断・最適な治療を体験していく中で、個々の症状、検査所見をひとつひとつ見逃さず、きめ細かな内科診療をおこなうトレーニングを行うことを目標にしています。

我が国の統計では循環器疾患による死亡者数は悪性腫瘍についで第2位、患者数は悪性腫瘍とほぼ同等、治療費別にみると循環器疾患は全体の20%と第1位です。これは将来、皆さんが循環器疾患と接する時間は他の領域の疾患と比べて多いと考えられ、医師としての基礎を作る初期研修の時期に循環器内科領域の研修を体系的に行うことが非常に大切である思います。

関西医科大学附属病院では、一般病院では経験することが少ないまれな疾患や施行施設が限定されている治療も多く、高いレベルでの幅広い研修が可能です。研修中には、CCU(冠動脈疾患治療部)での研修を含み、重症循環器疾患や循環器救急疾患を学ぶことができます。短期間でできるだけ多くのことが学べるように、プログラムを組んでおり、研修医/専攻医の学会発表、論文作成のサポートも積極的に行っています。我々は、循環器内科医である前に内科医であることを忘れず、幅広い視野で患者を診療することを重要視しています。

また、循環器内科を志している初期研修医の先生方には、皆さんのニーズに応えるように、当科の関連病院と協力しながら、内科専攻医プログラムを考えております。

腎臓

当科での研修においては、腎疾患患者の診療を円滑に行うための知識と技能を修得することを目標とします。腎臓病を理解するには腎臓病学はもちろんのこと、循環器、代謝・内分泌、膠原病、感染症などの内科一般の知識、さらには生理学・病理学など広範な基礎医学の知識も必要とされます。すべての腎臓内科的疾患について診療をおこなっていますが、特にIgA腎症、急速進行性糸球体腎炎、ネフローゼ症侯群および慢性腎不全については、幅広く多くの症例を経験することができます。当科では、尿・血液検査の基本、各種画像検査の基本、さらに腎病理診断を学ぶとともに、血圧コントロール、輸液管理あるいは呼吸循環管理などの全身管理を学ぶことができます。また、診療科を問わず経験することの多い、ナトリウムやカリウムといった電解質の異常、酸塩基平衡の異常にも対応しています。すなわち、当科での臨床研修を通して、専門分野の疾患はもちろんのこと、疾患・臓器単位にとどまらない、内科医として必要な基本的かつ実践的な医学知識、技能を習得する事が可能です。

糖尿病・代謝内分泌

糖尿病及び糖尿病合併症の診断および基本的な治療方法を習得することを目標とします。血糖値のみならず、糖尿病の診断及び血糖コントロールの評価にはHbA1c値を測定する必要があります。さらに、尿検査も重要です。糖尿病性腎症の評価には尿タンパク測定が必要不可欠です。尿ケトンが陽性であれば、直ちにインスリンが必要となる場合もあります。治療に関しては、適切な食事指導、運動療法も指導できるようになりましょう。薬物療法に関しては、経口糖尿病薬の選択肢が増えてきています。高齢者、腎機能が悪い患者さん、手術前、などには投薬してはいけない薬剤などもあり、薬剤の基本的な知識の習得が必要です。一方、糖尿病性ケトアシドーシス、高浸透圧高血糖状態など緊急を要する患者さんへの治療法も習得しましょう。独居、老々介護の高齢者の糖尿病の患者さんが増えています。このような患者さんには、どのように糖尿病のコントロールをすべきなのかも一緒に考えましょう。

甲状腺疾患は、日常よく遭遇する内分泌疾患です。動悸、体重減少、発汗過多などから、甲状腺中毒症を疑います。甲状腺機能低下症は、高コレステロール血症、徐脈、浮腫、嗄声などから診断されることもあります。甲状腺を触診する習慣を身につけましょう。どのような臨床徴候から内分泌疾患を疑っていくのか、習得しましょう。低Na血症、低血糖や全身倦怠感を契機に、副腎不全が診断されることもあります。副腎不全は、ステロイド剤の補充をすることで、患者さんの症状が劇的に改善します。免疫チェックポイント阻害剤の普及により、その合併症としての続発性副腎不全の患者さんが増えています。

スタッフ一同、皆さんが、糖尿病・内分泌疾患をしっかり研修できるよう、日々、熱く取り組んでいます。

本教室では入局者を随時募集しております。
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