運動器理学療法研究室
Musculoskeletal Physiotherapy Laboratory

市橋教授と八木講師の論文「Infrapatellar fat pad stiffness is associated with knee symptoms in patients with knee osteoarthritis」がClinical Rhematologyに採択されました

業績

膝OAの重症度や症状に膝蓋下脂肪体の硬さが関連することを示した市橋教授と八木講師の論文が、Clinical Rhematologyにアクセプトされました。

Infrapatellar fat pad stiffness is associated with knee symptoms in patients with knee osteoarthritis

Sayaka Okada,  Masashi Taniguchi, Masahide Yagi, Shogo Okada, Kaede Nakazato, Yoshiki Motomura, Yoshihiro Fukumoto, Masashi Kobayashi, Kyoseki Kanemitsu, Noriaki Ichihashi

Clinical Rheumatology

研究概要

膝蓋下脂肪体(IFP)の炎症や線維化は、変形性膝関節症(膝OA)に関連し、その発症および進行に関与すると報告されています。IFPには自由神経終末が存在し、組織の硬さや大きさの変化が膝の症状に影響を及ぼす可能性があります。これまでの研究では、膝OAの重症度とIFPの大きさの関連について十分な検討がされていません。また、症状との関連については、IFPの大きさは症状と関連せず、硬さがOAの重症度や症状と関係することが示唆されています。しかし、この研究では一般的に膝OAの症状に影響を及ぼす可能性のある要因が十分に考慮されていませんでした。そこで本研究では、膝OAの重症度別にIFPの硬さ・大きさを比較し、加えて、歩行中の膝関節モーメントおよび下肢筋力の影響を考慮したうえで、IFPの硬さおよび大きさと膝の症状との関連を明らかにすることを目的としました。その結果、重度の膝OA患者では、健常高齢者と比較してIFPが有意に硬いことが示されました。また、IFPの硬さは症状の強さと有意に関連しており、IFPが硬いほど症状が強いことが明らかとなりました。一方、IFPの大きさは膝OAの重症度および症状とは有意な関連を示しませんでした。これらの結果から、IFPは膝OAの重症度および症状に関連して変化する関節構造であり、特にその「硬さ」が重要な特徴であることが示唆されました。