関西医科大学運動機能セミナー
●日時/テーマ/講師
① 2025年6月22日(日)10:00~16:00
「身体運動学の基礎知識-筋の運動学とバイオメカニクス-」
市橋 則明(関西医科大学リハビリテーション学部 教授)
② 2025年7月13日(日)10:00~16:00 募集期間延長中(6月29日迄)
「高齢者の転倒リスクに対する科学的評価と転倒予防の実践」
浅井 剛(関西医科大学リハビリテーション学部 准教授)
③ 2025年8月31日(日)10:00~16:00
「脳卒中片麻痺の理学療法のエビデンスと歩行トレーニングの理論と実際」
市橋 則明(関西医科大学リハビリテーション学部 教授)
④ 2025年9月28日(日)10:00~16:00
「関節可動域制限に対する運動療法-ROM制限因子の評価とストレッチングの実際-」
市橋 則明(関西医科大学リハビリテーション学部 教授)
⑤ 2025年10月12日(日)10:00~16:00
「脳卒中後の動作再建と個別化戦略」
森 公彦(関西医科大学リハビリテーション学部 講師)
⑥ 2025年10月26日(日)10:00~16:00
「股関節の運動学と機能障害に対する理学療法」
八木 優英(関西医科大学リハビリテーション学部 講師)
⑦ 2025年11月16日(日)10:00~16:00
「筋力低下に対する運動療法-筋機能の評価と筋力トレーニングの実際-」
市橋 則明(関西医科大学リハビリテーション学部 教授)
⑧ 2025年11月30日(日)10:00~16:00
「高齢者に対する筋特性・運動機能の評価と根拠に基づいたトレーニング」
池添 冬芽(関西医科大学リハビリテーション学部 教授)
⑨ 2025年12月14日(日)10:00~16:00
「バイオメカニクスと神経生理学的視点に基づく歩行トレーニングの介入戦略」
脇田 正徳(関西医科大学リハビリテーション学部 講師)
●主催: 運動機能研究会
●開催形式:オンライン開催(Zoomによるライブ配信)
●受講費:各7,000円
●申込み方法:
下記URLまたはQRコードからGoogleフォームにアクセスし、必要事項を入力・送信してお申し込みください
https://forms.gle/Sg5rCGFrN8MJjhNQ6

●申込締め切り:各テーマの日時の3週間前
●問い合わせ先:セミナー事務局 kanni.seminar.pt@gmail.com
*すべてZoomを利用したオンラインセミナーとなります。
*受講者には事前にセミナー資料(PDFファイル)を配信いたします。
*申込締めきり日以降に受講可否についてメールでご連絡いたします。
*申込締め切り日から1週間を過ぎても受講可否の連絡がメールにて届かない場合は、
セミナー事務局(kanni.seminar.pt@gmail.com)にお問い合わせください。
●各テーマの内容
①「身体運動学の基礎知識-筋の運動学とバイオメカニクス-」
解剖学や運動学の教科書に書かれている筋の作用は、覚えても意味がない。なぜなら関節の角度が変化すれば作用も変化するからである。本セミナーでは、肩関節周囲筋と股関節周囲筋を中心に、1.筋の運動学的作用(関節角度が変化したときにどのように作用が変化するのか)と各筋のトルク寄与率(各筋が関節運動にどの程度貢献しているか)に関して詳しく説明する。さらに、2.モーメントの重要性、3.人体のてこの間違い、4.一関節筋と二関節筋の機能等の基礎知識に関して解説する。次に5.肩関節の運動学とトレーニング、6.膝関節の運動学とトレーニングに関して紹介する。
②「高齢者の転倒リスクに対する科学的評価と転倒予防の実践」
高齢者の転倒は、骨折や寝たきりのリスクを高め、生活の質を大きく損なう要因となる。転倒リスクは、加齢による身体機能の低下に加え、環境要因や心理的要因とも密接に関連しており、包括的な評価と適切な介入が求められる。本講演では、地域在住高齢者と要介護高齢者の転倒リスク要因を整理し、それぞれの特性に応じた評価方法について解説する。また、近年注目されている「転倒恐怖感(Fear of Falling)」に着目し、その影響と臨床的意義について考察する。さらに、超高齢社会に向けた転倒予防の戦略として、教育的アプローチの重要性、住環境評価の視点、具体的な転倒予防プログラムの事例を紹介する。科学的根拠に基づいた評価と介入を通じて、高齢者の転倒予防に貢献するための実践的知見を提供する。
③「脳卒中片麻痺の理学療法のエビデンスと歩行トレーニングの理論と実際」
本セミナーでは、脳卒中片麻痺に対するアプローチ法、トレーニング強度、反復トレーニング、バランス訓練、体重免荷歩行トレーニング、歩行トレーニング、筋力トレーニング等のエビデンスをコクランレビューとEvidence-Based Review of Stroke Rehabilitationを中心に詳細に解説する。また、重度の片麻痺患者が歩行を獲得するための歩行トレーニング法の理論と実際に関してなるべく具体的に患者のビデオを供覧しながら詳しく説明する。麻痺が重度でも歩行できるためには、立位保持、患側の支持性、患側の振り出しの3つが重要であり、それらの能力を獲得するためのトレーニングに関して詳細に説明する。
④「関節可動域制限に対する運動療法-ROM制限因子の評価とストレッチングの実際-」
関節可動域(ROM)制限に対する運動療法を行う場合に最も重要なことは、ROMの制限因子を明らかにすることである。ROMを測定するだけでは意味がなく、評価ではない。ROM制限因子を明らかにすることが評価であり、制限因子さえ明らかにすれば、治療方法が明確になる。本セミナーでは8つの制限因子の詳細に関して治療法と共に詳しく解説する。さらにROM制限因子の1つである関節包や筋腱の短縮に対するストレッチングに関して、1.ストレッチングが筋力に与える影響、2.パフォーマンスに与える影響、3.傷害予防に与える影響、4.遅発性筋肉痛に与える影響、5.長期的なストレッチング介入が筋力に与える影響、6.柔軟性に与える影響を解説する。さらに、7.効果的なストレッチングの方法に関して超音波エラストグラフィーを使った我々の最新の研究成果を紹介する。
⑤「脳卒中後の動作再建と個別化戦略」
起居動作や移動動作は日常生活の基盤であり、脳卒中後にこれらが障害された場合、その再建は非常に重要である。動作には運動機能、感覚、姿勢反応、鉛直方向の知覚と制御(垂直性)などのバランスの構成要素が密接に関与し、高次脳機能の影響も考慮する必要がある。これらを理解し、動的姿勢制御を改善するには、運動力学的および神経生理学的視点が不可欠である。リハビリテーションでは、「このトレーニングを行えば、この効果が得られる」という順問題の解決を目指す方法では十分な効果が得られないことがある。一方で、「期待する結果(効果)から原因を推測し、動作を最適化する」という逆問題の解決は、臨床知として個別化されたリハビリ戦略の構築に寄与する。本講演では、動作再建に必要な運動学・運動力学・神経生理学を整理し、さらに個別化戦略における機械学習手法を活用した新しい展開についても解説する。
⑥「股関節の運動学と機能障害に対する理学療法」
股関節機能は、単なる局所的な病態だけでなく、下肢や脊柱の疾患にも影響を及ぼす重要な身体機能である。しかし、股関節では骨・関節唇・関節包靭帯・筋などが複雑に連携しているため、その運動機能を包括的に理解するのが容易ではない。本セミナーでは、股関節の運動学を基礎から解説し、機能障害のメカニズムを最新の知見に基づいて説明する。さらに、股関節機能評価と治療のエビデンスを整理し、臨床で活用できる具体的な評価や運動療法を紹介する。
⑦「筋力低下に対する運動療法-筋機能の評価と筋力トレーニングの実際-」
筋力低下に対する運動療法は、理学療法において最も重要なことの1つである。本講演では、1.筋力に影響する要因、2.筋力低下の原因、3.筋力増加のメカニズム、4.筋力の評価、5.筋力トレーニングの原則、6.筋力トレーニングのエビデンス、7.廃用性萎縮防止トレーニング、8.変形性膝関節症に対するトレーニング、9.Extension lagと内側広筋に関して詳しく解説する。
⑧「高齢者に対する筋特性・運動機能の評価と根拠に基づいたトレーニング」
加齢に伴い、筋力、歩行・姿勢制御能力、敏捷能力といった様々な運動機能や筋量や筋の質といった筋特性が変化する。本セミナーではこのような加齢による運動機能や筋特性の変化について概説し、信頼性・妥当性が高いとされている高齢者の運動機能評価法、超音波エコーを用いたサルコペニアや筋特性の評価法、介護予防の視点からみた運動機能の基準値、転倒リスクのスクリーニングとして有効な評価法などについて述べる。また、高齢者に対する運動療法の基礎理論および運動効果のエビデンス、高齢者の筋機能・運動機能向上やフレイル予防に有効なトレーニングの実践方法について紹介する。以上の内容について、高齢者研究の最新の知見を踏まえながら解説し、高齢者に質の高い運動療法を提供できるようになることを目指す。
⑨「バイオメカニクスと神経生理学的視点に基づく歩行トレーニングの介入戦略」
理学療法において、歩行能力の向上は対象者の生活機能の再建に不可欠である。歩行障害は疾患による運動障害や個々の適応戦略の違いにより多様なパターンを示す。そのため、臨床現場では適切な歩行トレーニングを選択し、個別化された介入を行うことが求められる。効果的な歩行トレーニングを実施するには、バイオメカニクスおよび神経生理学の視点から歩行障害の問題点を的確に把握し、適切な介入戦略を立てることが重要である。本セミナーでは、高齢者の歩行障害、脳卒中後の片麻痺歩行、パーキンソン病のすくみ足など、臨床で頻繁に遭遇する疾患を取り上げ、歩行評価に基づく介入戦略の考え方を解説する。また、トレーニングの効果を検証するための実践的な方法についても紹介する。