膝OAの重症度別にKAMのレバーアームの構成要素を明らかにした市橋教授と八木講師、山縣助教の論文が、Annals of BIomedical Engineering に採択されました
Severity-Dependent Contributions of Knee Adduction Moment Lever Arm Components and Associated Gait Variables in Medial Knee Osteoarthritis
Kaede Nakazato, Masashi Taniguchi, Masahide Yagi, Shogo Okada, Sayaka Okada, Momoko Yamagata, Yoshihiro Fukumoto, Yoshiki Motomura, Masashi Kobayashi, Kyoseki Kanemitsu, Hiroshige Tateuchi, Noriaki Ichihashi
Annals of Biomedical Engineering
【研究の概要】
膝内転モーメント(KAM)の低減は変形性膝関節症(膝OA)進行抑制に不可欠であり、その主要決定因子である「レバーアーム」の構成要素(膝内反角、身体重心位置、足圧中心位置; foot COP)の寄与度を特定することは、有効な介入戦略を立てる上で重要です。しかし、これまでの研究では歩行変数がレバーアームに与える影響が個別に評価されるに留まり、変数間の相互関連や、OA重症度による力学的制約の違い(初期の可変性と重症期の変形固定)が十分に考慮されていません。そこで、本研究では、内側型膝OAの重症度(Early-mild/Severe)別に、KAMのレバーアームを構成するバイオメカニクス的要素の寄与度、および歩行変数との関連を解明することを目的としました。46名のEarly-mild OA患者と40名のSevere OA患者を対象に、三次元動作解析装置を用いて、快適歩行時の運動学データを計測しました。その結果、両群ともに「膝内反角が小さいこと」と「foot COPが外側に位置すること」がレバーアーム短縮の主要因子であることが示されました。特筆すべき点として、レバーアームへの寄与度は重症度により異なり、Early-mild群では膝内反角(46.4%)が、Severe群ではfoot COP(35.6%)が最大の寄与を示しました。また、膝内反角の減少には「対側骨盤下制が小さいこと」や「股関節内転が大きいこと」が関与し、特にEarly-mild群では「toe-in歩行」が膝内反角の減少やfoot COPの膝への近接(レバーアーム短縮)に関連していました。本研究の結果、膝OAの重症度に応じてKAMを決定づける要因が異なることが明らかとなりました。本知見は、病期に応じた適切なKAM低減のための歩行修正戦略の立案に寄与する可能性があります。