呼吸器外科手術をはじめ食道手術や胸椎手術などの胸腔内操作が必要な手術では良好な術野を得るために分離肺換気が行われる.分離肺換気の方法としてはダブルルーメンチューブ(DLT)を用いるのがゴールドスタンダードであるが,種々の状況によりDLTが使いにくい場合には気管支ブロッカー(BB)を用いたり,シングルルーメンチューブを一側の気管支に挿入して行う方法がとられる.特に小児症例で利用可能なDLTが存在しない場合には第2,第三の方法を取るしか選択肢がない.これらそれぞれの方法について解説する.
また,分離肺換気に使用するDLTなどのチューブは形状が複雑で通常のチューブよりも挿管操作が行いにくいため,挿管困難症例で分離換気が必要な場合にはそれなりの対応策が必要である.挿管困難症例においてどのように分離肺換気を行うかに関しても解説する.